精霊流しのすべて

精霊船の見せ場


 禁止されている花火もあります。お墓参りで大活躍する“やびや(ロケット花火)”も禁止です。これはどちらに飛んでいくかわからないので、危険だということだと思います。あとは破壊力の大きいラージサイズの爆竹(花火文化が発達している地域以外にお住まいの方はご覧になったことがないかもしれませんが、実在するのです)。普通サイズの爆竹を束にして火をつけることも禁止されています。でも、守られていません。毎年必ずダンボールいっぱいに入った爆竹に点火する人がいます。火柱が5メートルくらい上がるのを見たことがあります。路面電車の電線が焼けるのではないかと心配になりました。以前はそれも黙認でしたが、最近ではその場でおまわりさんにとっつかまるようです。不謹慎ですが、見物する分には楽しいです。


道は花火くずでいっぱい

 他にも禁止事項があります。船を回してはいけないのです。若くてノリの良いかつぎ手さん(引いてるんだけど)が多い船だと、ついノリでくるくると船を回転させたくなるようです。これは長崎名物の秋のお祭り「おくんち」の出し物の影響だと思いますが、精霊船はあくまで御霊を送る行事です。お祭りではありません。船を回したりしたらご先祖様が難破してしまう(長崎郷土史家・越中先生の言葉より)かもしれません。危ないですし、ダメですよ〜。注1
 終点の港、大波止の手前に県庁坂というちょっと長い坂(上って、下るようになります)があります。ここが見物するのには一等席とされているようです。その上り坂を駆け上がるのもカッコ良いとする風潮があるようですが(これも「おくんち」の影響かも…)、くどいけど、あくまでお祭りではありませんので、なるべくしずしずと行くのが本筋かと思われます。注2


最後になってくると、花火の大処分市の様相

 県庁坂を下ってしばらく進むと終点・大波止です。ここに係の方が待機していますので、手早く精霊船から遺影や発電機などの大事なものや借り物をはずし、解体してもらいます。あとは船に積み込まれ、焼却場所である離島へ運ばれます。かなりせつない光景です。でも、感傷にひたっている余裕はありません。バスやタクシーなどはつかまえられない場合も多いですが、徒歩でもなんでもとにかく帰宅して、親戚やお手伝いに集まってくださった他家の方をもてなす宴会の進行をしなくてはなりません。どんなに疲れていても、近親者には酒屋への使い走りや配膳などのお仕事が待っているのです。またしてもお盆の宴会は続きます…。(完)


船は解体して離島で焼却。うるうる

注1:「おくんち」の出し物の中でも船形のものなどは、くるくると船回しをするところが最高の見せ場になっています。これはカッコ良いけどね…。
注2:「おくんち」の御神輿がお旅所から神社に戻る、「おのぼり」というイベントがあります。御神輿は行列を組んでしずしずと進みますが、県庁坂と神社の長い石段は駆け上ってみせてくれます。かつぎ手の心意気を見せる、人気の見所となっています。


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長崎雑記帳