平成12年くんち

平成12年くんち・興善町


本踊り「時秋宮日宴弥獅子賑(ときはいままつりのにわにししのにぎわい)」

 興善町は姫の本家がある町です。町の名前の由来は町を開いた博多の豪商・興善氏によります。興善町は古くから大いに発展して町を二分して本興善町と後興善町に分かれましたが、原爆により町が消失したため、新たに他の三つの町の一部もあわせて興善町となりました。現在の町名になってから三度目の奉納踊りになります。

 傘鉾の飾(だし)は八つ足に烏帽子、鈴、美しい紅葉です。輪はしめ縄、垂(たれ)は五色の瑞雲が優雅で格調高い風情です。傘鉾も原爆で消失したため、戦後新しい構想のもと新調されました。
 興善町の本踊りは能の「石橋」由来した踊りです。文殊菩薩の浄土である清涼山に現われた石橋のもとで、文殊の愛獣である獅子が胡蝶とともに戯れあそぶ様子をあらわした舞いです。

 赤獅子2名、白獅子1名、胡蝶が3名。すべて藤間流の名取りの女性が演じていました。
 私は観ていて歌舞伎の獅子ものでも女方が演じる「英執着獅子」を思い出しました。歌舞伎ではいくら女方といっても男性ですから、毛振りはかなり力強いです。女性が演じる場合はもうちょっと動きにメリハリをつけたほうが勇ましく見えたんじゃないかなあと思ったりもして(生意気言ってゴメン)。しかしこの獅子頭、約3キロほどの重さがあるそうです。きっと思いもよらない部分が筋肉痛になったりするのでしょう…。

 モッテコイではおなじみの「長崎ぶらぶら節」もありましたが、獅子が踊る「ぶらぶら節」というのもなかなかかわいくて良かったです。

 庭先回りでは獅子は衣装を変え、勇ましい武者のような衣装で回っていらっしゃるのを見かけました。


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長崎雑記帳